赤ちゃんは胎児仮死し、母親は大量出血で死亡してしまった。


医療機関の投与ミスによって分娩時母子ともに死亡する悲惨な事件

つまり、経膣分娩をする場合、赤ちゃんの頭が母体の骨盤を通過するかどうかはギリギリだというのです。担当のC医師は、骨盤のレントゲン写真を撮り「大丈夫」と判断し、この妊婦に陣痛促進剤を使用します。その後、B子さんにはとても強い陣痛が起きます。付き添っていた実母の手がひきちぎれんばかりに引っ張り痛みを訴えていました。そうこうしているうちに、赤ちゃんの心拍(心音)が悪くなり、胎児仮死という判断で緊急帝王切開となります。

生まれた赤ちゃんは小児科の医師が「後遺症が残ることを覚悟してください」という状態でした。B子さんには、その後子宮からの出血が続きます。C医師の表現によるなら「土管から水が溢れ出すような状態」だったというのです。B子さんはその出血が続き亡くなります。さて、このケースでも証拠保全を行いました。私が裁判官に同行しました。最も見たかったのは、もちろん入院後のB子さんの分娩監視装置のグラフ(胎児心拍陣痛図)です。陣痛はどういう様子だったのか、胎児の心拍はどうなっていたのか。

医師や看護師の手書きした記録でなく、客観的データである機械の出力するグラフで知りたかったのです。私は、「分娩中に過強陣痛が起き、それにより胎児は低酸素の状態にさらされて胎児仮死となり急速遂娩となった。そして、母体の子宮は過強陣痛のため疲れ切り、分娩後起きるべき子宮収縮が起きなかった。このため子宮の血管が塞がらず出血が続いた(弛緩出血)」と見当を付けていました。したがって、私にとって最も重要なものはB子さんに過強陣痛が起きたかどうかの客観的データ、即ち分娩監視装置のグラフなのです。
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そのため、細かい言葉使いで対立することもあります。そして、前者の鑑定人の選任は、さらに大変です。前にも少し述べましたが、最近、大阪地裁で係属している事件で、被告の鑑定申請があり、裁判所が七人の医師を候補に挙げました。原告代理人の私は、そのうち二人を鑑定人として(実はしぶしぶです)了承し、他の五人については絶対に反対と意見を述べました。

そうしたところ、被告病院側は、全く逆に五人を可とし、私の了承した二人を絶対反対と上申したのです。裁判所が頭を抱えてしまいました。ちなみに、その五人のうちの一人は某大学の次期教授選に立候補する方でした。私にはそ一のような方が中立の意見を書けるとは思えませんでした。(裁判所は、私に(もちろん被告代理人にも聞いていると思います)双方了解できる人は思い当たりませんかと尋ねてきました。

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